朽ちゆく『タウシュベツ橋梁』の今をドローンを使って3Dデータで保存する方法

(1)準備

GS Proで飛行計画を設定する

 上士幌町糠平湖にある北海道遺産「タウシュベツ橋梁」。旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群の一つ。1939~1955年の間、橋梁の上に敷かれていた鉄道は木材などの輸送手段として使用されていた。廃線後、さながらローマ時代の建造物のような出で立ちとその朽ち行く姿がツアー客など訪れる多くの人々の目を楽しませている。

 橋梁が経年劣化のためアーチを保てるのは今年限りかもしれない…そんなニュースを聞いたdp編集部は、ドローンとアプリを使い3Dモデル化し“今の状態”のデータ保存を試みることにした。流れとしては、①準備、②撮影、③3Dモデル化の3つの工程で行う。

 まずは①準備から。撮影にはPhantom4を使用。3Dモデル化するには、対象物の様々な角度から、一定の割合で重なり合う(オーバーラップ)写真の撮影が必要になる。手動でシャッターを切る撮影でも可能だが、正確性を期すため今回はDJIの自動飛行アプリ「GS Pro」を使用する。設定にあたり、GS Proに詳しいDJIスペシャリスト・佐々木徹さんに教えていただいた。

 タウシュベツ橋梁は水平方向に長い形状のため、図1のような6つの円と、四角いエリアの飛行を組み合わせる。撮影場所は携帯電話の電波が届かないエリアなので、地図がダウンロードできないという情報を佐々木さんにいただいていたため、事前にGS Proでミッション(飛行計画)を設定してから現地へ向かった。

教えていただいた人
佐々木 徹さん

DJIスペシャリスト。愛機はPhantom 4。セミナーなどでGS Proを学び何度も自動飛行の経験を持つ。帯広の笹谷建設株式会社でドローン部門を担当している。

 橋梁を上から見た飛行経路。佐々木さんのアドバイスにより、立体的に捉え死角ができないよう割り出されたミッション。高さとカメラ角度、撮影枚数も重要なポイントとなる。
 GS Proの画面。高度30m半径30mの円1つが1つのミッション。隣の円と3分の1くらい重なり合うようずらしながら6つミッション複製する。この6つの円を補完するために四角いエリアも作成した。


(2) 撮影

自動飛行で約200枚の写真を撮影

 午前5時20分。まだ風がなく穏やかな日の出直後に現地に到着。Phantom 4の送信機、機体の電源を順に入れ、DJI GO 4でセッティングする。続いてGS Proを立ち上げ出発前に設定済みのミッションを呼び出し機体にデータを送る。  いよいよ撮影スタートだ。円の始点である高度30mの位置へまっすぐ向かった機体は、自動で半径30mの円の軌道を描きながら正確にシャッターを切っていく。今回の設定では一つの円で7枚の写真を撮影。これを6回繰り返していく。ここまでで、バッテリー残量が30%を切ったため一旦離陸地点まで機体を戻し、バッテリー交換を行った。最後は仕上げの四角いエリアの飛行だ。このミッションでは高度30mで150枚の撮影を設定済み。キビキビと規則的な自動飛行で全ての撮影をこなし、無事撮影は終了した。

A/あらかじめ設定したミッションどおり、円の軌道を描きながらシャッターを切るPhantom 4 
B/全ての撮影を終え、離陸地点まで帰還
C/橋梁の上面を撮影したときの様子



 (3) 3Dモデル化

撮影した写真をSfMソフトで演算

 3Dモデルを作成するには、SfM(Structure from Motion=複数視点からの3次元復元)ソフトを使う。人が2つの目で距離感を測っているのと同じ原理で、ドローンにより様々な角度から空撮された数百枚の写真を使ってより詳細な解析、演算を行い3Dモデルを作成する。  今回は、「Terra Mapper」と「DroneDeploy」の2つのソフトを使いそれぞれ3Dモデルを作成した。基本的な操作は、ソフトを立ち上げた後に写真を読み込ませ、演算を開始させるだけだ。  ただ、どちらのソフトも共通するのは3Dモデルを作成するのにかなりの演算時間がかかる点。ある程度のPCスペックが要求されデスクトップで演算中はほぼ他の作業ができない。別の作業を平行したり、出先の場合などはクラウドで演算させる方が良いだろう。Terra Mapperはデスクトップ版、クラウド版が用意されており、DroneDeployはクラウド版のみ。

Terra Mapper

国産のSfMソフト。海外製では高スペックなワークステーションで行う演算を、10万円前後のノートパソコンでできる。また、従来画像処理とデータ解析という2種類のソフトウェアを組み合わせていた部分を1本のソフトで行う。デスクトップ版(45万円)とクラウド版(スタンダード・月/5万円、プロ・月/10万円)がある。

DroneDeploy

クラウド(DroneDeployのサーバー)での処理となるため、アップロード回線が混んでいなければ一般的なソフトより演算が早く終わる。今回は約5時間で約200枚の写真の演算が完了した。3DモデルはWEBで公開することもできる。メニューなどの表記は全て英語。月/99$のプロ版と、月/299$のビジネスプランがある。30日無料のトライアルも用意されている。

dp

dp(ディー・ピー)は、DJI認定体験ストアAIRSTAGE帯広店がドローンの3つの"p"をwebとフリーペーパーで伝えるメディアです。